こんばんは。Aoiです。
「一条ルール」という言葉があります。これは一条工務店で設計する上で、決められた間取りのルールであったり、標準仕様における弊害があり、そういったことを揶揄するために施主たちの間でできた言葉です。
今回の記事では一条工務店で仮契約をして間取り設計を進める過程で、おそらく誰しもが感じるであろう「一条ルール」について我が家の実例を踏まえて紹介します。
木造枠組壁(ツーバイ)工法に準拠したルール
一条工務店の「i-smart」「i-cube」「グラン・スマート」では木造枠組壁工法となります。
木造軸組工法の柱や梁を組み合わせて強度を保つ工法と違い、フレーム上に組まれた2×6インチの木材に合板を貼り合わせた壁や床で支えるため、高い耐震性・耐火性・断熱性・気密性・防音性を持ちます。
一条工務店ではフィリピン工場で組まれた壁パネルを現場まで運んできてクレーンで吊ってパズルのように組み合わせていくといった方法で家の枠組みが完成します。
ツーバイ工法の大まかなルールは以下の通りです。
・隅の角部は1マス以上の壁が必要
・間取りを区画で割っていくルールがあり区画ごとに1/4以上の耐力壁が必要となる
・開口部の上部にはまぐさ(横架材)が取りつく
・耐力壁線上の開口幅は3/4以下
・1,2階の区画はなるべく揃える必要あり、ずれると1階に垂れ壁が出現する可能性あり
強度を保つために地震や風等の水平荷重への抵抗を持つ壁
実際に設計を進めていくと
・ここにはどうしても2階耐力壁を受けるためのSタレ壁が出てしまう
・角部は窓の設置不可
・窓の幅が制限されてしまう
・耐力壁の箇所になるため壁を凹ませることができない(リモコンニッチやヘッダーボックスの設置不可)
といったことが起きました。
最終的に間取りが決まって着手承諾するときにはフィリピン工場にて構造計算が行われます。その後、確認申請が降りて着工に進みます。
設計側でもある程度クリアするであろうと見ているようですが、工場での構造計算でNGとなり、設計しなおすといった事案も発生することがあるようです。恐ろしいですね。
構造に影響を与えない変更であれば対応できることも多いようです。稟議になる可能性もあります。
例えば施主支給の照明や装飾など。壁をふかせば耐力壁や外壁にもリモコンニッチやヘッダーボックスなど壁を凹ませる施工が必要なものを設置できます。
吹き抜けのルール
吹き抜けの設置にもルールがあります。以下の通りです。
①床面積の1/3まで設置可能
②床面積の縦横の長さ1/2まで設置可能
③吹抜け部分の坪単価は1/2(吹き抜けに設置した階段部分は坪単価そのまま)
④最終的に構造計算を実施しクリアして正式採用
原則「総二階建て」となる
なによりも間取りを制限しているのは「総二階建て」になるということだと感じています。
1階と2階の面積がほぼ等しい住宅のことを指す
2階にバルコニーを突き出して設置したり、以下のようにシューズクロークなど一部だけを1階の外に出すことはできますが、基本的にはツーバイ工法では総二階建てになることが多いようです。
2階建てで間取りを考えたときに1階部分に生活スペースであるLDKやお風呂等の水回りを配置して2階に家族の各部屋や寝室を配置する方が多いと思います。そうなるとどうしても1階を広くとったほうがバランスがよくなります。
我が家も1階にLDK、水回りを配置しましたが、総二階による間取りの制限によってランドリールーム(物干スペース)は2階にもっていかざる負えませんでした。
運用方法を工夫して生活していますが、1階に配置できればより家事楽になっていました。
また、軒での日射遮蔽が難しいという問題があります。高気密高断熱住宅では日射遮蔽がすごく重要なのです。
総二階建てという制限が一条工務店などの木造枠組壁(ツーバイ)工法における最大の制限だなと感じております。
同じ一条工務店でもセゾンシリーズなど在来(木造軸組)工法では総二階建てという制限はありませんので1階を広く取る間取りが可能です。
標準仕様による制限
一条工務店では住設のほとんどをオリジナル商品としてフィリピン工場にて一貫生産しており、価格を抑えてコストパフォーマンスの優れた住宅を展開しています。
・キッチン
・お風呂
・洗面台
・システムクローゼット等、各種収納
中にはオプションになるものもありますが、ほとんど標準仕様です。
基本的にはこの一条オリジナルの商品から選んでいきますので、社外品を採用するときは相当なオプション料金が発生したり、そもそも採用できなかったり、稟議にかけられたりします。
我が家は一条オリジナルからすべて選択しましたので何の変哲もない「i-smart」が生まれました。
問題を乗り越えて、一条工務店のスマートキッチンにミーレ食洗機を施主支給する決断に至った経緯 | 一条工務店で建てた ふわふわ☆わんこのお・う・ち
こちらの記事ではスマートキッチンに標準搭載されるパナの食洗機を取りやめて施主支給のミーレ食洗機を搭載するというストーリーを紹介しています。一条工務店の対応はもちろん工場サイドで搭載することはできませんので、引き渡し後であれば施主責任で行っても構わないというものでした。
やろうと思えばこのようなこともできるんだなとに驚かされました。チャレンジャーすぎますね。ミーレ愛強すぎます。
不可解な制限
これ、なんでできないの?という制限があります。
・外壁ハイドロテクトタイルは2色まで、色分けは縦方向のみ(横や互い違いに貼れない)
・フローリングは1色のみ(オプション料金で1階2階で分けることができるが同じ階で区分けすることはできない)
・建具(ドア、収納扉)も1色のみ
・巾木、ハニカムシェードは選択肢が白1色しかない(これはラインナップなので仕方なし。。)
・床暖房エリア分けの最小面積は3帖から
これはよく言えばコストダウンする上での企業努力。フィリピン工場での生産効率化と現場の品質(取り違えの防止等)を考慮しての対応でありますが、もう少し臨機応変な考えを持ってほしいものです。
ネックになりがちなロスガードの配置
一条工務店自慢の第1種換気システム「ロスガード90」ですが、本体の設置に1マス(半畳)必要です。これ、実質約34万円ぐらいかかります。(68万円/坪で計算)
2階建てであれば2階の外壁に面した箇所にしか設置できないという制限があり、騒音も考慮して寝室付近には設置したくないとなると結構厄介なものになります。なので別見出しで紹介しました。
我が家は2階ランドリールームに配置しましたが、隣が子供部屋なので、将来子供が使うことになったときに騒音が気になるかもしれません。
まとめ:仮契約前に自分の建てたい家のイメージとマッチするのか吟味しよう
今回は一条工務店の間取りに関するルール「一条ルール」について紹介しました。
「一条ルール」とは厳密にルールを決めてパッケージ化することでコストダウンと耐震等級3を確実にクリアするための取り組みとなっており、これは施主にとってデメリットでもありますが、メリットでもあるのですね。
設計を進めていくと「なんでこんなこともできないの!?」と思われる方もいるかと思いますが、構造的な問題であればこれが仕様だと思って諦めるしかありません。
構造に影響が出ずにできることであれば稟議になる案件も出てきますが、可能性が広がります。しかし、SNSやブログで簡単に情報が行き交う時代ですので、「これが出来ればあれもできるよね!」といった事案が発生すると一条側も対応しきれなくなる可能性があり、稟議は厳しいものになっていくのではないかと予測しています。(というかすでにそのようになっているかも)
・大開口の間取りにしたい!
・建具や設備はこだわりたい!
・人とは違った奇抜な家を建てたい!
上記のような方は一条工務店は向かないかもしれません。
セゾンシリーズ等、在来工法の商品もありますが、こちらも標準仕様による制限は出てきますし、耐力壁は同様に必要です。
セゾンシリーズの新商品「グラン・セゾン」は住設もすごくおしゃれで人気が高いみたいですね。
一条工務店と仮契約を行い、いざ設計を初めて「こんなはずじゃなかった!」となる前に「自分が建てたい家のイメージと一条工務店がマッチするのか?」吟味しましょう。
・一条工務店検討中及び設計中の方必見!「全館床暖房」のエリア分けで注意したいこと - Aoiのi-smartで快適ライフ
・盲点?外観におけるパース図面に現れないものについて 一条工務店・i-smart - Aoiのi-smartで快適ライフ
一条工務店
一条工務店 間取り紹介
Web内覧会*一条工務店
一条工務店オプション
一条工務店 -夢発電
一条工務店住み心地
一条工務店を選んだ理由
一条工務店*建築工事実況中!