こんばんは。Aoiです。
「一条工務店はデザインが単調!」「ダサい!」という声をよく聞きますが、これは主に「i-smart」「i-cube」のことを言われているのではないかと思います。確かに外観はほとんどの家がハイドロテクトタイル全面貼りで単調と思われるかもしれません。
しかし、一条工務店では人気の高い「i-smart」以外にもそれぞれの特徴を持つ商品ラインナップがあります。デザイン性の高さが際立つモデルもあります。また、最近ではiシリーズに「グラン・セゾン」が誕生しました。単調なデザインから脱却した新商品になっています。
今回の記事では各商品の坪単価と仕様・特徴についてまとめました。
・家づくり計画中で一条工務店に興味のある方
・一条工務店の坪単価を知りたい方
・一条工務店各商品の違いがよくわからない方
一条工務店の見積算出方法について
まず、一条工務店の特徴として、住宅業界に蔓延している値引きが紹介割引ぐらいで基本的に一切ありません。すべての施主が公平になります。これはすごく良いことだと思います。
見積は以下項目にて算出されます。
①建物本体工事
②建築申請・その他業務諸費用
③付帯・屋外給排水・雨水排水・浄化槽・ガス配管工事
④標準仕様外/太陽光発電関連
⑤預り金
皆が口を揃えて言う「坪単価」は①の建物本体工事です。この割合は7割程度しかなく、残り約3割は②~⑤の項目になります。
特に⑤は人によって価格の差が出やすいです。土地の状況によっては地盤改良や深基礎工事が必要となります。一条工務店では標準仕様が充実していますが、それでも魅力的なオプションは数多くあり、それらを多数採用すると価格が跳ね上がります。
また、上記以外に外構工事費用、上下水道関連費用、その他費用(家具・家電、火災保険等)がかかります。外構工事も人によって価格差が出やすい項目となります。
坪単価から計算される建物本体工事だけでは到底家は建たないということを理解しましょう。費用総額から坪単価を計算すると+30万円程度はかかると思われます。
一条工務店の各商品の坪単価と仕様・特徴について
一条工務店の商品ラインナップについて概要を紹介していきます。坪単価は地域や施工面積、平屋か二階建てによって相違がありますので、目安としてください。上述した坪単価では家は建たないということを留意下さい。
性能は熱損失係数を表す「Q値」と相当隙間面積を表す「C値」で表示します。どちらも数値が低いほうが良い性能となります。
Q値はカタログ値となります。C値もカタログ値ですが、一条工務店では全棟気密測定を行い、C値を保証してくれています。
現在の省エネルギー基準では、外皮平均熱貫流率を表す「UA値」が新たな指標となっていますが、家全体の断熱性能のバランスを見るには「Q値」のほうが優れていることから、本記事では「UA値」は省略します。
単位温度差当たりの総熱損失量/床面積
建物全体の隙間面積/床面積
i-smart(アイ・スマート)
①坪単価・・・65~70万円
②工法・・・木造枠組壁工法
③構造・・・2×6材
④断熱仕様・・・壁:高性能硬質ウレタンフォーム充填140mm外50mm、床:高性能硬質ウレタンフォーム140mm、桁上:高性能硬質ウレタンフォーム235mm
⑤窓仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・2400mm、オプション:2万円/坪にて1階部分を2600mmに変更可
⑦全館床暖房・・・標準仕様
⑧ハイドロテクトタイル・・・オプション:1.3万円/坪
⑨デザインの特徴・・・シンプルモダン、スタイリッシュで機能的な住設、開口部を大きく取ることによる解放感の創出
⑩性能・・・Q値:0.51W/㎡・K C値:0.59㎠/㎡(我が家の実測値:0.578㎠/㎡)
注意点としてはツーバイ工法による総二階建てのルールがあり、間取りが組み立てにくいです。1階に生活の中心となるLDKとお風呂等水回りを持ってくることが多いかと思いますが、そうなると1階の面積を広く取る必要があり、総2階の精算ルールで2階が余りがちになり、その分吹き抜けにして無駄な費用が増えたり、我が家のようにランドリールームを2階に持っていくことで洗濯動線が悪くなるケースが考えられます。
また、ツーバイ工法のルールで耐力壁の配置ルールが厳密に決まっており、間取りの制約が大きいです。1階と2階の耐力壁線区画がずれると、1階に垂れ壁ができることがあります。これは施主の間で「一条ルール」と揶揄されており、以下記事で内容を紹介しています。
間取りの制約以外にもう一つ注意したいことは、開口部を大きく取って解放感を出すといったモデルになっているため、1枚1枚の窓が大きく設定されるケースが多く、夏季の日射取得による影響で室内がオーバーヒートしてしまいます。「一条工務店の家は冬は暖かいけど、夏は暑い!」という声があり、これは日射遮蔽がされていないことが原因です。
総二階建てで1階部分は軒による日射遮蔽ができないため、日よけシェード等による日射遮蔽計画が重要です。
掃き出し窓の日射遮蔽と遮蔽が難しい他の窓を小さく設定すれば、夏場もものすごく快適な室内空間となります。エアコンの効きもよく、省エネです。
我が家も窓の大きさについてはもう少し考慮すればよかったと後悔しています。想像していた以上に日射取得による室内への影響が大きかったです。
以下記事は我が家の「i-smart」35坪の費用総額をかなり細かくまとめたものです。建物以外にかかる費用が大きく、予算オーバーとなってしまいました。かなり参考になるはずです。
i-cube(アイ・キューブ)
①坪単価・・・63~68万円
②工法・・・木造枠組壁工法
③構造・・・2×6材
④断熱仕様・・・壁:高性能硬質ウレタンフォーム充填140mm外50mm、床:高性能硬質ウレタンフォーム140mm、桁上:高性能硬質ウレタンフォーム235mm
⑤開口部仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・2400mm、オプション:2万円/坪にて1階部分を2600mmに変更可
⑦全館床暖房・・・標準仕様
⑧ハイドロテクトタイル・・・オプション:1.6万円/坪
⑨デザインの特徴・・・ナチュラルインテリア、開口部は抑え気味でキュートなイメージ
⑩性能・・・Q値:0.51W/㎡・K C値:0.59㎠/㎡
「i-smart」と「i-cube」の違いがよくわからないという方も多いかと思いますが、インテリアイメージと窓のサイズが「i-cube」では絞られるという2点のみの違いです。
坪単価は2万円程「i-cube」のほうが安くなりますが、ハイドロテクトタイルの価格が「i-cube」のほうがなぜか高く、そこを加味するとそれほどの価格差はありませんので、どちらかで迷われる方は単純にインテリアの好みで選べばよいと思います。
注意点としては前項で説明した「i-smart」と一緒なので割愛します。
i-palette(アイ・パレット)
①坪単価・・・80~90万円 ※建売住宅のため、土地や諸経費・外構等込々
②工法・・・木造枠組壁工法
③構造・・・2×4材
④断熱・・・壁:高性能硬質ウレタンフォーム充填(外断熱なし)
⑤開口部仕様・・・Low-E樹脂サッシ(ペアガラス)
⑥天井高さ・・・2400mm
⑦全館床暖房・・・標準仕様
⑧ハイドロテクトタイル・・・標準仕様
⑨デザインの特徴・・・i-cubeと同等の分譲住宅
⑩性能・・・Q値:0.89W/㎡・K C値:公表なし
分譲住宅専用の商品となります。坪単価は諸経費や土地・外構等も含めた込々の単価となります。分譲住宅業界をぶち壊す高性能な家が手ごろの価格で買えるといったものです。(手ごろといっても、一般的な分譲住宅と比較するとかなり割高です。)インテリアは「i-cube」と同等のもになります。
GRAND SMRT(グラン・スマート)
①坪単価・・・75~80万円
②工法・・・木造枠組壁工法
③構造・・・2×6材
④断熱仕様・・・壁:高性能硬質ウレタンフォーム充填140mm外50mm、床:高性能硬質ウレタンフォーム140mm、桁上:高性能硬質ウレタンフォーム235mm
⑤窓仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・2400mm、オプション:2万円/坪にて1階部分を2600mmに変更可
⑦全館床暖房・・・標準仕様
⑧ハイドロテクトタイル・・・標準仕様
⑨デザインの特徴・・・優雅なデザインと質感の高いインテリア
⑩性能・・・Q値:0.51W/㎡・K C値:0.59㎠/㎡
2022年1月より販売開始された新商品です。オプションになりますが、グレイスタイルという新仕様のタイルをアクセントに使うことができたり、デザインルーバーを採用できたりして、「i-smart」「i-cube」で指摘されている単調な外観デザインとは一味違うデザインにすることができます。
坪単価はi-smartよりも5万円程高くなりますが、i-smartではオプションのハイドロテクトタイルやモクリア(木目調フローリング)がグラン・スマートでは標準仕様となっています。
SAISON A Type(セゾンA)
①坪単価・・・58~63万円/坪
②工法・・・木造軸組工法
③構造・・・四寸柱
④断熱仕様・・・壁:EPS1号相当120mm、床:EPS1号相当90mm、桁上:EPS1号相当145mm
⑤開口部仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・1階:2650mm、2階:2500mm(トイレ等一部除く)
⑦全館床暖房・・・2万円/坪
⑧ハイドロテクトタイル・・・採用不可
⑨デザインの特徴・・・カジュアルな欧風モダン、ナチュラルインテリア
⑩性能・・・Q値:0.98W/㎡・K C値:公表なしだが実測で1㎠/㎡以下
軸組工法の商品となります。「i-smart」「i-cube」の総二階建てルールは適用されず、間取りはかなり組み立て安くなり、軒での日射遮蔽もしやすいです。
軸組工法では気密が取りにくいという欠点があり、現場の丁寧な施工によって左右されてきます。一条工務店では建物の外周部に構造用合板を張り合わせることで気密を取りますので、現場任せではなく、構造体で安定した気密性能を確保します。
参照:高性能断熱材「EPS1号相当」|性能を追求する住宅メーカー【一条工務店】
C値は公表されていませんが、気密測定は実施しており、大体0.8~0.9㎠/㎡程度に収まるようです。
Q値については少し不安です。充填断熱のみで「i-smart」「i-cube」のように外断熱がないので、熱橋が出るため熱損失が大きいです。断熱材の仕様の違いもあります。カタログQ値は0.98W/㎡・Kとなっており、「i-smart」「i-cube」より悪くなります。寒冷地では心もとない数値です。
ただし、省エネルギー基準にて設定されているQ値では、地域区分Ⅰ(北海道)で1.6W/㎡・Kとなっており、この数値と比べるとかなり良いということがわかります。温暖地では十分な性能となります。
外壁と内壁の間にある柱などが熱を伝える現象。充填断熱では柱間にしか断熱材がないため、柱の部分は熱橋となる。
一条工務店自慢の全館床暖房はオプションとなり、ハイドロテクトタイルは採用不可となりますので、注意が必要です。
坪単価は全商品の中で一番低めの設定となっており、費用を抑えたい方には一番おすすめの商品です。
以下記事ではセゾンAの見積内容について紹介しています。
SAISON(セゾン)
①坪単価・・・60~65万円
②工法・・・木造軸組工法
③構造・・・四寸柱
④断熱仕様・・・壁:EPS1号相当120mm、床:EPS1号相当90mm、桁上:EPS1号相当145mm
⑤開口部仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・1階:2650mm、2階:2500mm(トイレ等一部除く)
⑦全館床暖房・・・2万円/坪
⑧ハイドロテクトタイル・・・採用不可
⑨デザインの特徴・・・格調高いヨーロピアンスタイル、高級感のあるインテリア
⑩性能・・・Q値:0.98W/㎡・K C値:公表なしだが実測で1㎠/㎡以下
セゾンAと同一の仕様となります。
無垢材を使用した上質なインテリアが設定されており、坪単価はセゾンAよりも高く設定されています。外観に重厚感があり、好きな人にはたまらないデザインなのではないかと思います。
GRAND SAISON(グラン・セゾン)
①坪単価・・・68~73万円
②工法・・・木造軸組工法
③構造・・・四寸柱
④断熱仕様・・・壁:EPS1号相当120mm、床:EPS1号相当90mm、桁上:EPS1号相当145mm
⑤開口部仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・1階:2650mm、2階:2500mm(トイレ等一部除く)
⑦全館床暖房・・・標準仕様
⑧ハイドロテクトタイル・・・標準仕様
⑨デザインの特徴・・・華麗さと重厚感を併せ持つ佇まい、プレミアムスタイル
⑩性能・・・Q値:0.98W/㎡・K C値:公表なしだが実測で1㎠/㎡以下
2019年発売のモデルです。一条工務店のラインナップの中で一番新しい商品となっており、現在非常に人気が高いです。
工法・構造はセゾンAと同一ですが、全館床暖房とハイドロテクトタイルが標準仕様となっています。デザイン性と機能性を兼ねそろえた住設やハイドアや石目調のフローリングが採用できたり、デザインルーバーで外観にもアクセントを入れることができる等、標準仕様の内容にさらに磨きがかかっています。
坪単価は「i-smart」よりも2万円程度高く設定されていますが、「i-smart」でオプションとなる「ハイドロテクトタイル」や「天井高2600mm」(グランセゾンは標準で2650mm)のことを考慮するとコストパフォーマンスが高い商品です。
これで「i-smart」と同様に外断熱もありの付加断熱にしてくれれば完璧だったと感じています。
すごく興味が湧いてきましたので、近くに展示場ができる予定で完成したら見学に行こうと考えています。
Brillart(ブリアール)
①坪単価・・・60~65万円
②工法・・・木造軸組工法
③構造・・・四寸柱
④断熱仕様・・・壁:EPS1号相当120mm、床:EPS1号相当90mm、桁上:EPS1号相当145mm
⑤開口部仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・1階:2650mm、2階:2500mm(トイレ等一部除く)
⑦全館床暖房・・・2万円/坪
⑧ハイドロテクトタイル・・・採用不可
⑨デザインの特徴・・・青空と太陽と海が似合う、南欧風
⑩性能・・・Q値:0.98W/㎡・K C値:公表なしだが実測で1㎠/㎡以下
セゾンAと同一の仕様となります。
突出するのは外観のデザイン性でしょうか。外観のテラコッタ屋根瓦に色鮮やかなサイディングの外壁が素敵です。魔女の宅急便の海の見える町に出てきそうです。
インテリアもパイン材の壁が1面標準で採用できたり、垂れ壁R施工できたり、一条工務店の他の商品とは一味違った雰囲気となります。
坪単価は安めに設定されていますが、他の商品では通常標準のものがオプションになっており、費用総額は高くなってしまうケースが多いようです。
円熟の家 百年
①坪単価・・・70~75万円
②工法・・・木造軸組工法
③構造・・・四寸柱
④断熱仕様・・・壁:EPS1号相当120mm、床:EPS1号相当90mm、桁上:EPS1号相当145mm
⑤開口部仕様・・・Low-Eトリプル樹脂サッシ
⑥天井高さ・・・1階:2650mm、2階:2500mm(トイレ等一部除く)
⑦全館床暖房・・・2万円/坪
⑧ハイドロテクトタイル・・・採用不可
⑨デザインの特徴・・・本格的な和風住宅から和風モダンまで、和の住まいを実現する
⑩性能・・・Q値:0.98W/㎡・K C値:公表なしだが実測で1㎠/㎡以下
セゾンAと同一の仕様となります。
とにかく和の雰囲気を存分に出せる商品となります。上質な素材を使用するため、坪単価は高めに設定されています。また、カタログ写真のような外構にするとかなりの費用がかかると思われます。
和が好きな人にはうってつけの商品ですが、価格を見ると敷居が高そうです。
まとめ:自分に合った商品の選定を!いずれも窓の日射遮蔽が重要!
今回は一条工務店にてラインナップされている各商品の坪単価と仕様・特徴について紹介しました。まとめると下表の通りとなります。
これは私の考えですが、北海道・東北の寒冷地では高性能な「i-smart」「i-cube」「グラン・スマート」がおすすめです。総二階建てルールがあり、間取りが非常に組み立てにくいので、可能であれば平屋がおすすめです。
温暖地ではどの商品もおすすめですが、予算オーバーで費用を抑えたい方は「セゾンA」で全館床暖房を採用しないようにするのがおすすめです。エアコン暖房でも十分暖かい冬を過ごせます。
いずれの商品を選ぶにしても、共通で注意していただきたいことは、窓の日射遮蔽計画です。一条工務店だけでなく、高気密高断熱住宅では窓からの日射取得による室内への影響が非常に大きいです。日射遮蔽が不十分であれば夏季だけでなく、春・秋の中間期にも室内がオーバーヒートしてしまう懸念があります。現在、オプションで採用できる全館空調システムの「さらぽか空調」でも「暑い!」と感じる方が多いようで、これは日射遮蔽が不十分になっていることが原因です。
特に近年の夏は一部地域では40℃を超えるような、厳しいというか、一昔前ではありえない暑さとなっています。
必ず軒や庇、日よけシェード等を使用して日射遮蔽を計画しましょう。
本日は以上になります。
なお、最新情報入りましたら都度更新していきます。
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