こんばんは。Aoiです。
先日2019年のオリコン顧客満足度ハウスメーカー注文住宅ランキングが発表されました。
今回は一条工務店がどのような立場にいるのか、感じたことを各項目ごとに紹介したいと思います。
調査概要
調査期間:2018/08/06~2018/10/18
サンプル数:14,132人
調査企業数:48社
定義:注文住宅を施工・販売するハウスメーカー、ビルダー、工務店が対象。「注文住宅」とは、建物の構造や間取り、設備、内装などを自分の希望どおりにできる住宅を指す。また、デザインやコンセプトなど、予め設定されている商品の注文住宅も含む。 ただし、土地と住宅をセットで販売し、間取りや設備が決まっている(購入者の意向が反映されない)新築分譲住宅の「建売住宅」は対象外とする。
総合ランキング
スウェーデンハウスはオリコン満足度ランキング5年連続1位となっており、絶対王者の貫禄です。すべての項目で1位を取っています。
一条工務店は総合ランキングでは6位となっています。
利用者が重要視した項目とは?
利用者が重要視した項目の割合となります。
住居の性能が1位となっています。近年は特に地震等の自然災害が多く、住宅性能(省エネ性、耐震性、耐久性)を重要視する方が多くなってきています。東日本大震災時のエネルギー不足が家に対する考え方の大きな転換になりました。
今回は上位5項目について一条工務店の順位と状況について感じることを紹介します。
住居の性能
1位:スウェーデンハウス(Q値:1.14、C値:0.73)
2位:へーベルハウス(Q値C値ともに非公表)
3位:一条工務店(Q値:0.51、C値:0.59)
「家は性能」を謳う一条工務店としては屈辱の3位です。
スウェーデンハウスは木製のトリプルサッシを採用するなど住宅性能には力を入れていますが、断熱材は昔から変わらず繊維系のグラスウールを使用しています。
一条工務店などが採用している発砲プラスチック系のウレタンフォームと比べると断熱性が落ちますし気密も取りにくいです。経年劣化やシロアリ被害を考慮しての采配なのかもしれませんが、安価なグラスウールを使用しているという風に見てしまいます。
第一種換気システムの熱交換率においても一条工務店90%に対してスウェーデンハウスは70%以上となっています。
カタログ数値(Q値、C値)においても圧倒的に一条工務店が勝っています。
住宅性能の項目でスウェーデンハウスに負けている理由がよくわかりませんが、北欧ならではの温かみのあるデザインという点が考慮されているのかもしれません。
へーベルハウスについては少し違った観点で家の構造体の強さ(耐震性・耐久性)が評価されているのではないかと思います。鬼怒川決壊のときにへーベルハウスの白い家だけが何事もなかったかのように流されずに佇んでいる動画は有名です。
また「ヘーベルシェルタードダブル断熱構法」を新たに開発し全商品に標準採用することでZEHの要件を満たしたことも評価されたポイントなのではと思います。
業界トップクラスの高性能住宅を量産する一条工務店ですが、残念な結果です。1位になるにはなにか別の角度からのアピールポイントが必要なのかもしれません。
モデルハウス
1位:スウェーデンハウス
2位:へーベルハウス
3位:一条工務店
健闘の3位です。
一条工務店は広告や宣伝するより展示場を見てもらうことで住宅性能の良さや標準仕様の充実さをアピールしています。
住宅展示場数は1位となっており、力の入れ具合が結果に出ています。
その分、価格への反映も余儀なくされているものと思います。
アフターサービス
1位:スウェーデンハウス
2位:へーベルハウス
3位:積水ハウス
圏外:一条工務店
一条工務店は圏外となっています。ここが弱くて総合の順位を落としていると思われます。
一条工務店は現在住宅販売戸数2位につけています。この10年で倍近くの増加です。震災等の災害や地球環境が取り沙汰される昨今、住宅性能に特化した一条工務店が売れている理由だと感じます。現在売り上げの約7割を占めるシンプルモダンなデザインで若い層に人気となった「i-smart」の登場も大きな理由の一つです。
他のハウスメーカーと違い、年々右肩上がりで販売戸数を増やしてきた一条工務店ですが、現場や提携する業者はかなり忙しく、アフターサービスまで手が回っていないのではないかと感じています。やはりどうしても新規の顧客を優先にしてしまうものです。
実際にアフター対応の悪さを指摘する声も上がっており、我が家でも定期点検の直しにかなりの時間がかかったりしていました。重大な不具合ではなかったため、あまり気にしていませんでいたが、気になる方は不満に思われると思います。改善の余地が大きい項目だと感じます。
金額の納得感
1位:スウェーデンハウス
2位:一条工務店
3位:富士住建
大健闘の2位となりました。
一条工務店ではオリジナルの住設はすべてフィリピン工場に一貫生産しており、少品種・大量生産でコストを抑えています。違うメーカーの住設を入れると割高になったり、採用できない場合もあったり、なかなか融通が利かないことが多いのですが、その代わり業界トップクラスの住宅性能と充実の標準仕様を展開しているにも関わらず、他の大手ハウスメーカーと比べると価格は抑えられており、コストパフォーマンスに優れています。
しかし、近頃理由が明確ではないただの坪単価値上げが行われており、この項目については今後下がっていく懸念があります。
少し手を伸ばせば届きそうな価格帯に位置する一条工務店ですが、届かないぐらいの高価格帯になると販売戸数の減少につながりそうです。
単なる値上げというのは顧客からしたら悪い印象しかないです。これをネタに契約を迫る営業さんもいるようです。
企業努力で価格は現状維持にしてもらいたいところですね。
設備・内装の質
1位:スウェーデンハウス
2位:一条工務店
3位:積水ハウス
大健闘の2位となりました。
一条工務店販売戸数の約7割を占める「i-smart」の内装が若い世代を中心に受け入れられているためだと思われます。
出典:アイ・スマート|商品/実例|性能を追求する住宅メーカー【一条工務店】
特徴はシンプルモダン。オリジナルの住設は鏡面仕上げになっていたり、スマートバスの御影石カウンターなどグレードの高い材質を使用したり、収納力もあり機能性も併せ持っていたりと人気を博す理由がそこにはあります。
私もi-smartの展示場に入ったときには床暖房の快適性能も感じましたが、住設のすばらしさを体感しました。
今後もi-smartを中心に展開していくのでしょう。
最後に
オリコン顧客満足度ランキングは実際に建てた方の意見が集約されたランキングとなっており、参考にする方はかなり多いです。住宅性能に特化した一条工務店は販売戸数を年々右肩上がりで上げていきましたが、懸念事項も多く今後も同様の結果になるかはわかりません。
日本の住宅性能は世界最低レベルで室内の温度差によって引きおこるヒートショックによって年間2万人近くが亡くなっています。政府としては次世代省エネ基準を設けるもそれでも欧州最低レベル。さらに現在は努力目標になっています。まったく追いつていない状態です。
一条工務店にはさらに頑張っていただいて、他社は追従する形で業界全体で住宅性能を上げていってほしいと切に願っています。