Aoiのi-smartで快適ライフ

一条工務店『i-smartⅡ』の住み心地や後悔ポイント、高気密高断熱住宅の家づくりのノウハウについて紹介します。

住宅において気密性(C値)が非常に重要な4つの理由

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こんばんは。Aoiです。

住宅において断熱性は重要と感じられる方は多いのではないかと思いますが、気密性については特段気にされない方が多いのではないでしょうか?

省エネ法においては平成11年度の次世代省エネ基準で明記されていた気密性(C値)が現在の基準では削除されており、ZEHの要件となっているのもUA値で気密性(C値)は要件に入っておらず、重要視されていないように感じられます。

 

実態は違っており、気密性(C値)こそ住宅において必要不可欠なものです。今回はその理由について説明します。

C値とは?

住宅の気密性を表す指標で相当隙間面積のことを言います。建物全体の隙間面積(㎠)を延床面積(㎡)で割った数値です。

計算式・・・C値=延床面積(㎡)/隙間面積(㎠)

延床面積150㎡(約45坪)の家でC値が1だとしたら、隙間面積は150㎠となり、家全体の中ではがき1枚分程度の隙間が生じているということになります。

気密性(C値)が重要な4つの理由

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住宅において、気密性を表すC値(相当隙間面積)が非常に重要な4つの理由について説明します。

(1)本来の断熱性能を発揮させ冷暖房効率を上げるため

断熱性能を表すQ値、UA値は断熱材を厚くしたり高性能サッシを採用することで底上げすることができます。大手ハウスメーカーでも高断熱仕様にすることでZEHの要件を満たして高気密・高断熱で省エネ・エコ住宅を謳っています。

 

しかし、いくら断熱性を上げても気密性(C値)が低いと、冬季においては暖房で暖められた室内の空気が天井の隙間から抜けていき、その分、冷えた外気が隙間から流入して暖房効率が悪くなります。

また、流入した冷たい空気は足元を這うように流れてきて底冷えするような寒さを感じてしまいます。

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このように上下の室温にかなりの差が生じてしまうと冷気の流れを感じて人は極端な寒さを感じてしまうのです。

「暖房をつけているのに寒さを感じる」「暖房がなかなか効かない」等のことを思われている方は断熱性の低さもありますが、気密性(C値)が低いのも大きな要因の一つです。

気密性(C値)を高めることで断熱材や高性能サッシ等の本来の性能を引き出し、冷暖房効率を上げます。また、室内の上下の温度差をなくすことができ、快適な生活につながります。

 

気密性が大前提にあっての断熱性なのです。 

(2)壁内への水蒸気を通しにくくすることで壁内結露を防止するため

冬季において外気は乾燥気味になりますが、家のなかでは4人家族で約9リットルもの水蒸気が発生します。

人・・・4リットル

家事、炊事・・・2.5リットル

洗濯・・・1.2リットル

入浴・・・1.3リットル

水蒸気はその性質上、温度の低いほうに流れるため、屋内で発生した水蒸気は屋外に流れようとします。

気密性(C値)が低いと屋内で発生した水蒸気が隙間から壁内に侵入し、温度差によって結露が生じる可能性があります。結露が生じることによって壁内の柱等の木材(構造躯体)の腐敗を促します。

 

また現在充填断熱として広く一般的に使用されている繊維系断熱材(グラスウール、ロックウール等)は吸水性が高いため、結露によって水分を含むと沈んでしまい、断熱性能を著しく低下させる恐れもあります。

 

 気密性(C値)を高めることで壁内結露を防止させ、構造躯体の腐食を防止し長寿命な住宅にすることができます。

(3)計画換気を効率よくするため

シックハウス症候群の対策として平成15年より建築基準法「ホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制」によって換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(24時間換気システム)の設置が必要となりました。

しかし、これはただ設置すればよいというものではなく、気密性が伴っていないと家全体を効率よく換気することができません。謳っているのは換気量のみで設置すればなんでもよいと考える住宅会社が非常に多いです。

 

広く一般的に使用されている第3種換気システムでは家全体を換気するために、給気と排気FANの位置を考えて設計しますが、気密性(C値)が低いと建物の隙間から給気されて本来の計画とは違った状態となってしまい、家全体が効率よく換気されません。

換気がされない箇所は湿気を含んだ空気が滞留してカビ・ダニの発生を促します。また汚染物質が滞留して健康被害を及ぼします。

第3種換気とは
排気側に換気設備を使用し強制的に排出、室内を負圧状態にして給気口から外気を取り入れる方式
気密性(C値)を高めることで本来計画した通りの換気が実施されて良い室内環境にすることができます。

 

(4)内外の音を遮断することで騒音トラブルを回避するため

海外と違って日本の住宅は密集していることが多いです。これは国土が狭く、傾斜が多いためそもそも家の建てられる土地が少ないことや、土地が高価であること等が挙げられます。特に都会はその傾向が顕著に現れますが、私の住む富山県でも住宅団地が多くあり、やはり密集している印象を受けます。

 

密集している住宅でのご近所トラブルで多いのが騒音問題です。こちら側がいくら気を付けていても子供の泣き声などどうしようもないこともあります。また、騒音を受ける場合も考えられます。よくあるのがマフラーをカスタムした車やバイクの音などでしょうか。

 

せっかく高いお金を支払って建てた念願のマイホーム。騒音によるご近所トラブルだけは避けたいものです。

対策として気密性(C値)を高めることによってこちらの音を外に漏らさない、外の音を中に伝えづらくすることができます。

気密を確保するには?

気密の取りやすさは工法によって大きく変わります。高気密・高断熱で知られる一条工務店の「i-smart」「i-cube」は2×6の木造枠組壁工法です。パネルを継ぎ合わせた工法のため気密が取りやすいです。工法だけでなく、徹底したコーキングや気密テープ等により気密を取っています。

同じ木造住宅でも現在の戸建住宅の7割を占める軸組(在来)工法においては気密を確保するために防湿・気密シートなどを施工する必要があります。特に継ぎ目部分(間柱)やスイッチ・コンセント・配管の貫通する部分は隙間がないように気密シートとテープなどを駆使して埋めるといった作業を伴います。

 

こうした現場施工の良し悪しで気密性が大きく変動するため、C値を保証できなかったり、気密測定を行わない住宅会社が多くあります。

 

在来工法においても気密確保するための煩雑な作業を簡略化するために、先張りシートによる気密工法や、ボード(合板)を柱や横架材に打ち付ける気密工法等、気密の取りやすい画期的な工法が出てきています。

 

大手では気密性(C値)を公表し、気密測定を行い、保証している会社は一条工務店、スウェーデンハウス、セキスイハイムぐらいです。

中小規模の工務店やビルダーでも工法を工夫することで気密を確保し、気密測定を行い、保証している会社も少なからずいます。

 

世界から見て日本の住宅性能はかなり遅れを取っている現状ですが、考え方の変化や政府の指南もあってか、近年は少しずつ業界全体のレベルが上がってきているように感じます。

気密性(C値)はどれだけあれば良いのか?

現在の省エネ基準ではC値が消えてなくなりましたが、平成11年度基準では以下の通り、寒冷地では2㎠/㎡、その他では5㎠/㎡といった極端な数値となっています。

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次世代省エネルギー基準(平成11年度基準)

この数値では前述した気密性(C値)が重要な4つの項目に支障をきたしてしまいます。

 

ではどれだけのC値があればいいのか?と言われると数値が低ければ低いほど良いわけですが、以下の書籍では、第3種換気において2階給気口から外部空気を満足に取り入れるようにするにはC値1.5㎠/㎡は必要とされています。

さらにローコストなパイプファン計画換気(ダクトを使わないパイプファンと給気口の換気システム)では2階の給気口から外部空気を満足に取り入れることを考慮するとC値1㎠/㎡は必要とされています。

C値1㎠/㎡以下が一つ基準となりそうです。第1種換気ではその限りではありませんが、第1種を採用するということは換気による熱損失を考慮してのことですので、そもそも高気密・高断熱が前提とされます。

第1種換気とは

排気・給気ともに機械で行う換気方式。別名「熱交換換気システム」。一条工務店では温度交換効率90%となっており、冬季において20℃の室温を排気した場合、18.7℃に暖められた外気を給気する。

まとめ:気密測定を実施してC値を保証する住宅会社の検討を

気密性を表すC値(相当隙間面積)。住宅の快適性、寿命に直結する非常に重要な要素です。

 

近年は住宅性能を重要視する方がかなり増えてきている印象です。オリコン顧客満足度調査においても一番重要視する項目に上がっています。

背景には震災等の災害によるエネルギー不足や地球環境の悪化が取り沙汰されていることがあります。

 

省エネ・エコ住宅に住みたいと思われる方は一つ断熱性能だけでなく、気密性能(C値)も気にして家づくりを行っていただきたいと思っている次第です。

気密測定を実施してC値を保証してくれる住宅会社を選ばれることをおすすめします。